もぐりの日記

雑日記

【正月】この冬コタツでワールドトリガーを読め【充実】

全国3000万人のTUTにかかわりのある皆様こんにちは。これはTUTAdC21日の記事です。 adventar.org

今日はTUTでは年内最後の授業日でした。時の流れは早いもので、AdCも終わりが見えてきて、ああクリスマスなんだなぁとか思っていると、賞味期限ぎりぎりのケーキが店に並び、TVCMはお正月を写そうとか言うようになりますねぇ。

今回は、そんなお正月休み(与えられるものとする) におすすめの作品を紹介します。

【トリガー】ワールドトリガーとは【オン】

誰が呼んだか「遅効性SF*1」、ジャンプ本誌で連載開始、今はSQで連載中のマンガです。 ワールドトリガー.infoのあらすじは筋が通りすぎてるので、適当なサービスで1話、できれば1巻を試し読みする方がおすすめです。

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W主人公の空閑遊真(左)と三雲修(右)*2

ざっくり言うと、異世界からの侵略者 近界民(ネイバー) と、この世界の守り手 ボーダー の戦いのお話です。 「まぁよくある異世界との交流&バトルかー」なんてのは、結構吞気してる感想。この作品のキモは ロジカルな集団戦 にあります。

【全力で】ワートリの集団戦【まあまあ】

ワールドトリガーの世界では、一人ひとりの戦闘力は大差がないです。たとえば戦闘力が53万あったり、既に卍解を折っておいたりというチート的な強さはありません。あるのは、現実世界で言う柔道の白帯と黒帯のような熟練度の差だけです。なので、個人戦闘力に限界のあるこの世界では、「戦略・戦術」が占める割合がとても大きいです。いかに熟練の戦士であろうとも10人に囲まれれば負けますし、弱い奴でも環境がそろえば強者を下します。

淡々と文字で書くと、まぁそうだよな、となるだけの話ですが、この描写が大変ロジカルで引き込まれます。

ワールドトリガーの集団戦が真価を発揮するのは"B級ランク戦編"(10巻~13巻)。ボーダー隊員が1~4人ずつのチームを組んで3~4つ巴のバトルロイヤル模擬戦をする話が続くシーズンです。「へぇ?でも修行パートじゃないの?」そう思っていると足元掬われることに。

Bランク戦編は作戦立案&ブリーフィングの描写から始まります。ボーダー身内戦なので、相手も自分もある程度情報を持ってる状態で戦うのは当たり前。事前にわかる有利不利をどう覆すか?の準備段階です。 戦闘員は、近接攻撃を行う攻撃手(アタッカー)、中距離が得意な銃手(ガンナー)/射手(シューター)、遠距離専門な狙撃手(スナイパー)とそれぞれ兵種がわかれていて、隊によって構成もまちまち。強みを生かせるよう悩み抜きます。

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ブリーフィング風景 この時点でも各隊の特徴が出てくる*3

準備が済むといよいよ本番、模擬戦闘です。これがまたロジカル。ランク戦は正隊員の昇級試験であると同時に訓練生の経験値でもあるので、実況解説つきで観戦する視点を織り交ぜながらの描写がなされます。

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実況解説 ブリーフィングを第三者視点でまとめたり、戦況を俯瞰するマップが使われる *4

もちろん戦闘描写もばっちりすごい。特にアタッカーが切り込む様は気持ちがいい。読者も事前に戦術を共有しているからこその集中力・テンポの良さで引き込まれます。

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戦闘描写 何気ない所作に意味があることも……*5

戦闘が終わるとどうなる?知らんのか?デブリーフィングが始まるんですね。ここでは事前に予測されなかった事象やそれに対する各隊員の行動の意図をまとめたり、試合のターニングポイントを振り返ったりします。普通なら冗長に感じる所ですが、事前に予測をしっかり立てている上、戦闘中の隊員のアドリブもまたロジカルなので、再構築されていく達成感がこみ上げます。

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デブリーフィングの様子 今日より強くなるために振り返りは欠かせない *6

このランク戦の展開だけでもワールドトリガーというマンガの魅力が伝わるかと思います。

そう、 ロジカル なのです。

【玄界の進歩も】集団戦を支える技術【目覚ましい】

ところでTUTはUTなので、学生は支える技術なんてものが好きだったりします。

ワールドトリガーの世界での基幹技術は「トリオン」にまつわるものです。トリオンとは作中に出てくる不思議エネルギーで、人のもつ見えない臓器で作られるとされています。生み出せる量には個人差があります。

戦闘員はこのトリオンを燃料にする武器、「トリガー」を使って戦います。ボーダーのトリガーは、戦闘体と呼ばれるトリオンでできた仮の体、脱出機能(ベイルアウト)、レーダーや無線などを基本サポートします。これに加えて個人で選択できるトリガーチップを装備します。チップは、たとえば銃や剣といった武装、外套やシールドといった補助的な装備が該当します。

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狙撃手用トリガー 状況に応じて使い分ける*7

トリガーチップはメインとサブ*8で各4つ選択し、戦闘中はそれらを切り替えつつ戦います。これは、戦闘中に同時に使えるトリガーは二つまでということを意味します。また、トリガーチップはセットするだけでもトリオンを消費するので、持っていく装備を厳選することにも意味があります。

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トリオン量とトリガーチップの容量の概念図 *9

ボーダーのトリガーの特徴は、何と言っても「組み合わせ」にあります。トリオン量にもよりますが最大8種類の兵装を持ち込めるので、単純に考えても\binom{n}{4}^{2}程度のバリエーションが個人単位で存在します。これにチーム戦術まで加わるわけです。そうなると、もう組み合わせはめっちゃすごい*10ことになります。

こういう風に「無限の可能性」みたいなことを言い始めると、たいていのヒトは「え、でもフィクションでのそれって後出しじゃんけんじゃね?」とか思いますね。新たなカード生み出してるんじゃないよ、と。ご安心ください。確かに新しい兵器は出てきますが、そこにあるのは人類の進歩の歴史です。剣の強い奴に銃で挑むのは道理ですよね? 一時の気合より、緩まず備える方が強い世界観は揺るぎません。

ほかにもいろいろなトリガーがあったり、トリオン技術があったりするのですが、紹介し尽くすのは野暮というものです。

これら設定が物語に さらなるロジック を与えていくのは、 おわかりですね?

【ぼんち揚げ】おわりに【食う?】

ということで、正月にワールドトリガーを読みましょうという話でした。クリスマスでもいいよ。 この記事に含まれているワールドトリガー成分は10%以下なので、こんな程度でクラっと来てる人はぜひ読んでみてください。遅効性SFパワー があなたを襲うこと間違いなしです。

【つまんない】蛇足【ウソつくね】

ところで金曜日といえばアニメ「やがて君になる*11」の放映日ですね? TUT生のみなさまにおかれましてはリアルタイム視聴なさっていることと思い、あえてここでお勧めすることはありませんでした。 ワールドトリガーとは全く毛色の違うお話ではありますが、これも ロジック にあふれた作品です。おすすめ。

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やがて君になる 原作漫画もおすすめ

明日は @ot0eu さんの「記事の内容の予定などを入力してください」になります。デフォルト、普通への執着……あぁ……たまりませんね……

*1:HN/野菜炒めさん作。10巻発売記念のキャッチコピーコンテストのグランプリ大賞。1巻を対象に作られたものだけれど、作品全体に通る名キャッチコピーだと思う

*2:オフィシャルデータブック BBF P.4より

*3:ワールドトリガー 10巻 P.157 P.163より

*4:ワールドトリガー 10巻 P.172 P.179より

*5:ワールドトリガー 11巻 P.18より

*6:ワールドトリガー 11巻 P.62より

*7:ワールドトリガー 14巻 P.78より

*8:利き手と反対の手に該当する概念、左右に持ち分けるイメージ。それぞれにセットできるトリガーに制約はない。サブだからといって補助的トリガーしかセットできないわけではないということ。

*9:ワールドトリガー 19巻 P.82より

*10:めっちゃすごい

*11:TVアニメ「やがて君になる」公式サイト